「最近、よく聞く統合型リゾートってどんなものになるんだろう?」

「統合型リゾートができることで、どんなメリットがあるの?」

「外国の統合型リゾートって、日本で予定されているものとはどう違うんだろう?」

こんにちは、カジノアカデミア編集部です。

最近「統合型リゾート」という言葉をよく耳にしませんか? 一言でいえば、統合型リゾートとは「カジノを含む、さまざまな観光施設を集めたリゾート地」のことです。

いわゆる「カジノ法案」が成立したことで、日本でも統合型リゾートをつくるための法整備を正式に進められるようになりました。そこで、統合型リゾートが急速に注目されるようになったのです。

日本では「カジノというギャンブルが合法化された」という面がクローズアップされがちです。その結果、なかなか統合型リゾートの全体像が見えてこないのが現状です。

そこでこの記事では、統合型リゾートとはいったいどのような施設から構成されるのか、そしてどんなメリットがあるのか、海外事例も含め、解説していきます。

この記事を読めば、統合型リゾートとはどんな場所なのかイメージすることができ、さらに日本にどんな影響があるのか見通せるようになります。

日本では馴染みがない統合型リゾートを、写真と図を豊富に使ってわかりやすく説明していきますね。
ちなみに今回の記事について手っ取り早く知りたい方のために、図解を準備しました!

図解ですぐわかる!統合型リゾート

いまさら聞けない!「統合型リゾート」について分かりやすく解説

IR推進法とIR整備法(メディアではまとめて「カジノ法案」と呼ばれることも多いですね)が成立したことで、いま統合型リゾートが大きな注目を集めています。

IR整備法の「IR」って何の略なんですか?
”Integrated Resort”の頭文字からとった略称だね。この記事で解説する統合型リゾートと意味はまったく同じだよ
統合型リゾートという言葉は、急に聞くようになった印象があります。あまり馴染みがないんですけど…
もともとはシンガポール政府がリゾート地を開発しようとしたときに「Singapore Integrated Resort&Casino(シンガポール統合型カジノリゾート)」と呼んだところからはじまっているんだよ
日本でもシンガポール型のリゾート施設をつくろうとしたから、そのまま直訳して「統合型リゾート」と呼ぶようになったんですね
その通り!

シンガポールでのリゾート地開発の成功事例にならって、日本でも同様の統合型リゾートをつくろうとしています。そこで、統合型リゾートはどんな場所になるのか、海外での事例を参考にしつつ、見ていきましょう。

統合型リゾートは複合施設からなる観光場所

統合型リゾートは法律では「特定複合観光施設」と呼ばれています。その名の通り、統合型リゾートとは「複合型の観光施設の集まり」ともいえます。

ものすごくわかりやすくいえば「観光客を楽しませる施設がたくさんある地域一帯」を統合型リゾートと呼んでいるのです。具体的には、次のような施設が含まれます。

  • MICE施設
  • ホテル
  • カジノ
  • 劇場
  • ショッピングモール
  • 映画館
  • アミューズメントパーク

上に挙げたのはあくまでも例で、博物館や美術館を併設している海外の統合型リゾートもあります。

「MICE施設」については聞きなれない方もいらっしゃるかと思いますので、補足しておきましょう。観光庁の定義では「M」「I」「C」「E」の意味はそれぞれ次の通りです。

  • M:Meeting……企業などの会議
  • I:Incentive……企業の表彰式、企業研修
  • C:Convention……国際機関、学会が行う国際会議
  • E:Exhibition/Event……展示会、見本市、イベント

簡単にいえば「大規模な会議、研修、展示会を行うための施設」のことです。日本でいえば、東京ビッグサイト(東京国際展示場)が、MICE施設にあたります。

日本には東京ビッグサイト、それに幕張メッセもありますよね。統合型リゾートをつくる必要はあるんですか?
東京ビッグサイトは周辺にはアミューズメント施設もないし、宿泊施設も不足しているね。統合型リゾートのイメージは次のようなものだよ

こんなふうにホテルや会議場、カジノ、ショッピングモールが渾然一体となっているのが、統合型リゾートなんだ

観光客を惹きつける施設を1ヶ所に集める統合型リゾートには強い集客力が期待されています。改めて統合型リゾートをつくる意義をみていきましょう。

統合型リゾートをつくるメリット

いま、なぜ日本は統合型リゾートをつくろうとしているのでしょうか。

今後、日本はますます高齢化が進み、労働力が減っていくことが予想されています。そこで魅力的な観光施設をつくることで、多くの外国人観光客を呼び込み、国際的な競争力を高めたいという狙いがあります。

日本政府は「観光立国」「観光先進国」を謳い、訪日外国人観光客(インバウンド)を増やそうとしています。政府資料によると、2030年には年間6000万人までの訪日外国人観光客を増やそうとしているのがわかります。

政府は統合型リゾートをつくることで、観光客を呼び込み、地域振興につなげようとしているんだ。うまくいけば雇用も増えるし、税収も増えることが期待できるんだよ

統合型リゾートをつくることのメリットは次のようなものがあります。

  1. 税負担なしで魅力的なリゾート開発ができる
  2. 観光客と観光収入の増加
  3. 国際競争力を高めることができる

それぞれのメリットを詳しくみていきます。

メリット1:税負担なしで魅力的なリゾート開発ができる

予想はつくかと思いますが、さまざまなレジャー施設をつくるには、土地の確保と大規模な不動産開発が必要になります。財政難の日本では、そのようなお金を簡単に用意することはできません。

ただ、海外では統合型リゾートの開発は民間資本が中心です。日本でもリゾート開発の資金は民間の事業者が負担することが前提となっています。つまり税負担なしで魅力的なリゾート施設をつくることができるのです。

そこで気になるのは、開発できるだけの民間資本が集まるかということですが、いまの段階で参入検討している事業者は数多くあります。

  • 大手不動産デベロッパー
  • 銀行
  • パチンコ事業者
  • 海外のIR運営会社

事業者の選定は自治体が行いますが、候補に不足することはなさそうです。

メリット2:観光客と観光収入の増加

すでに触れたように、統合型リゾートをつくることでインバウンド増加が見込まれます。とはいえ「ほんとうに統合型リゾートで観光客、観光収入は上がるの?」と疑問に思う方もいるかと思います。そこで実際の例をみていきましょう

たとえばシンガポールでは、統合型リゾートをオープンしたことで、観光客は50%以上増加し、観光収入も60%以上増えました。

また世界一のカジノ都市であるマカオでは、カジノの税金(ゲーミング税収)だけで1兆円をはるかに超える税収を得ています。これは、マカオのすべての歳出をまかなうことができるほどの数字です。当然、マカオの財政は長年黒字をキープしています。

もちろん日本で同じように成功するかどうかは断言できません。ただ、治安の良さなど日本ならではの強みは数多くあります。

統合型リゾートの経済効果についてはさまざまなシンクタンクが試算していますが、少なく見積もっても数千億円以上の経済効果があると考えられます。

メリット3:国際競争力を高めることができる

日本では、大規模な企業研修や夜のレジャー、宿泊まで1ヶ所で完結できる場所があまりありません。そのため、日本を避けてラスベガスで研修を行う外資系企業もあるほどです。

また日本での大規模な国際会議ができないとなると、それだけ世界から取り残されてしまうことになります。

統合型リゾートをつくることのメリットは、単にそこでお金を使ってもらうことにとどまりません。

まずは外国人に日本に来てもらい、そこで優れた日本の食文化や、歴史的建築物、美術に触れてもらうことで、日本をより深く知ってもらうことも大きなメリットです。

統合型リゾートは、日本の国際競争力強化にもつながるというメリットがあると考えられます。

ここまで、統合型リゾートをつくるメリットを確認してきました。では逆に、課題や懸念点はどういったものがあるのでしょうか。

章を改めて、懸念点についておさえておきます。

統合型リゾートのデメリットと懸念点を検証

統合型リゾートをつくるための「カジノ法案」には強い反対があります。ざっくりいうと「リゾート施設をつくるのはいいが、カジノ(ギャンブル)はダメだ」というのが反対派の意見です。

統合型リゾートが、日本を観光先進国にしてくれる可能性があるのはわかりました。でもカジノやギャンブルって怖いイメージがあります。
統合型リゾートの問題点として挙げられるのは、やっぱりカジノになるね。でも、海外の統合型リゾートの例をみると、そこまで問題になっていないんだ。詳しく解説するね

統合型リゾートは、カジノ施設を設けることが予定されています。統合型リゾートをつくることの懸念点を、次の3つにまとめました。

  1. ギャンブル依存症患者が増える
  2. ギャンブル目的の観光客が増え、治安が悪化する
  3. 採算が取れず、統合型リゾートが衰退する可能性がある

ほんとうに上のような問題が生じるのか、検証していきます。

懸念点1:ギャンブル依存症患者が増える

いちばんの懸念点は、カジノができることでギャンブル依存症患者が増えるのではないかというものです。

ただ、ギャンブル依存症にかかるかどうかは「ギャンブルへの接触しやすさ」が大きな要因です。統合型リゾートは非日常的な観光施設であるため、普段から通うことは想定されていません。また統合型リゾートができるにしても、全国で3ヶ所という上限があります。

多くの人が、日常的にカジノに通うことになるというのは考えにくいでしょう。

さらに、日本人にはカジノ施設への入場規制が課せられる予定です。

  • 週3回までしか入場できない
  • 月10回までしか入場できない
  • 入場料として6000円かかる

このように強制的に、接触回数を制限することでギャンブル依存症対策を行う予定です。

ラスベガスのように、ギャンブル依存症の疑いのある者には厳しく入場禁止の措置を取るなど、徹底した本人確認とあわせて行うことでかなりの程度予防することが期待できます。またギャンブル依存症対策の費用は、カジノ事業者が負担するといった制度を取り入れることも有効です。

シンガポール政府は「社会家族振興省」「問題賭博全国協議会」「保健省」がそれぞれギャンブル依存症の対策を手厚く行っており、さらに民間でもカウセリングから治療、復帰支援まで行う機関が数多くあります。

その結果、実はシンガポールでは統合型リゾートがつくられた後、ギャンブル依存症患者は減少しているのです。2008年の調査ではギャンブル依存症患者の割合は2.9%でしたが、2017年には0.9%まで落ちています(統合型リゾートの開設は2010年)。

もっとも韓国ではカジノによるギャンブル依存症の増加が社会問題になっています。これは山間部で他にレジャーが少なかったこと、またカジノ周辺に闇金業者があり、ギャンブルにのめりこみやすい環境であったことが原因だと考えられています。

ギャンブル依存症は無視できない問題であることは事実です。ただギャンブル依存症が増えるかどうかは、制度や仕組み、支援体制のありかたで大きく変わります。

懸念点2:ギャンブル目的の観光客が増え、治安が悪化する

次に挙げられる懸念点は「ギャンブル目的の観光客が増え、治安が悪化する」というものです。

ただこの懸念はあまり根拠があるものとはいえません。

世界中にカジノはあるのに、カジノだけを目的としてわざわざ日本に来る人はどれだけいるのでしょうか。統合型リゾートでは「観光・レジャー」の一部としてカジノは位置づけられています。あくまでも大人の娯楽です。

たとえばラスベガスはギャンブル都市というよりは「子どもから大人まで楽しめる一大テーマパーク」といったほうが正確です。たしかに以前はラスベガスといえば危険な場所というイメージがありましたが、いまでは家族で楽しめるレジャー都市です。

売上の内訳をみても、カジノがいちばんを占めているわけではありません。実際にラスベガスの有名カジノ運営事業者であるザ・ベネチアン&パラッツォの売上の内訳を見てみましょう。

施設 売上
カジノ 495億円(全体の27%)
ホテル 663億円(全体の36%)
飲食 321億円(全体の17%)
コンベンション他 376億円(全体の20%)

データ参照:平成29年度海外における特定複合観光施設等に関する調査分析業務委託報告書

これを見ると、カジノの売上は大きいものではあるものの、その他の施設を連携しあって全体の売上を底上げしているのがわかります。

また他の統合型リゾートでも、警備体制が敷かれており、犯罪が増加したという統計データもありません。

採算が取れず、統合型リゾートが衰退する可能性がある

最後はカジノに焦点を当てた話ではなく、より根本的な懸念になります。つまり「そもそも統合型リゾートは成功するのか」という懸念です。

カジノの人気ゲームは「バカラ」「ブラックジャック」「ルーレット」「スロットマシーン」です。これらのゲームはどの地域で行ってもゲーム性に大きな違いはありません

そもそもカジノのゲームで差別化ができないのでは、後発である日本では採算が取れないのではないかとも言われます。またアジアを中心に統合型リゾート開発にはさまざまな国が力を入れています。競争が激化しているなか、ほんとうに観光客を呼び込めるのか不安になるのはもっともです。

ただ繰り返し解説してきた通り、統合型リゾートの成功はカジノだけで決まるものではありません。どれだけ観光資源を集め、シナジー効果を発揮できるかが成否を分けることになるでしょう。

たとえばカジノでプレイしたお金をいくらかチケット(コンプとも呼ばれます)という形でバックすることが考えられます。そのチケットをレストランやアミューズメントでも使える形にして、さまざまな施設で遊んでもらえば統合型リゾート全体の魅力は高まるでしょう。

確実に成功するかどうかは未知数ではあるものの、いまの日本で統合型リゾートが最も観光客誘致に期待がもてる施策であることは間違いありません。

ここまで海外事例を踏まえて、日本での統合型リゾートの見通しを語ってきました。最後に、改めて諸外国で統合型リゾートがどのように運営されているのか、簡単にみていきましょう。

統合型リゾートの海外事例を抜粋して紹介

まず採り上げなければならないのは、すでに何度か触れたシンガポールでしょう。近年アジア圏でオープンした統合型リゾートのいちばんの成功例です。

シンガポールでも特に注目されているのはマリーナ・ベイ・サンズです。さらに2010年の同時期に開設されたリゾート・ワールド・セントーサも海に隣接するリゾート地で、大規模なコンベンション施設も抱えているということで、世界中から観光客を呼び込むことに成功しています。

シンガポールでは自国民にはカジノへの入場規制を課しており、うまくギャンブル依存症患者が増えないようにコントロールしているところも日本が見習うべき点として挙げられます。

他にアジア圏で注目すべき場所を挙げると、マカオは世界一のカジノ都市として有名です。ただ国際会議場などは少なく、全般的にエンターテインメントに舵を切っているところは、統合型リゾートというよりは「アジア随一の歓楽街」を呼べそうです。

アジア圏では、マカオ以外ではマニラとフィリピンは、カジノを軸におきつつ、アミューズメント施設を周辺につくりあげることで観光都市として名を馳せつつあります。

アジア圏外に目を向けると、やはり圧倒的な存在感を放っているのはアメリカのネバダ州(ラスベガス)でしょう。街全体をあげて「一大エンターテインメント施設」を広大な地域につくりあげている様子をみると、スケールが違うことを感じさせられます。

まとめ

この記事では、日本ではまだあまり知られていない「統合型リゾート」について解説してきました。

重要なポイントだけをまとめるよ。
  • 統合型リゾートは「会議場、カジノ、ホテル、アミューズメントなどが集まったレジャー地域」のこと
  • 統合型リゾートをつくることで、外国人観光客を呼び込めることが期待できる
  • カジノをつくることには反対も多いけれど、外国の例をみると深刻な影響はなさそう

このまま順調に進めば、2025年前後に日本初の統合型リゾートが生まれるのではないかと予想されます。

大きな期待を寄せながら、統合型リゾートの出現を待ちましょう。